🌆 都会 × アンデス山脈という衝撃
イースター島の静かな豊かさに浸ったあと、
サンティアゴに降り立った瞬間、
身が凍るほど冷たい風と、空港の向こうにそびえる巨大な雪山が迎えてくれた。
「こんな雪山ビューのどこに都市があるんだろう?」
正直、どこかサンティアゴをなめていた自分がいた。

Ahu Tongariki (イースター島)の受付の女性が言っていた。
「サンティアゴは都会で嘘が蔓延っているから嫌い」
という言葉をふと思い出す。
でも空港前に立った最初の感想は、
「いや、嘘もなにも……思ったより田舎じゃないか?」というものだった。
しかし、一夜を空港前ホテルで過ごし、
翌朝 Uber に乗って市街地へ向かう途中で気づいた。
空気がまるで違う。
高速道路から見える景色は決して綺麗とは言い難く、
市街地に入ると、
人の多さ、街のざらついた空気、どこかスレた雰囲気。
イースター島の静けさから一気に、
“南米の大都市の現実”へ引き戻された感覚があった。
それでも──サンティアゴは驚くほど魅力的だった。
🏙️ サンティアゴ=南米トップクラスの超巨大都市
■ 首都圏人口:約700万~800万人
チリ全人口の約40%がここに集中している。
■ 経済規模:南米屈指
サンパウロ・ブエノスアイレスに次ぐレベルで、
南米のビジネス・政治・交通の中心地。
■ 都会としての密度がえげつない
- 高層ビルが林立
- 交通量が多く常に渋滞気味
- 地下鉄網も世界基準で見ても立派
- 物価も南米の中では高水準
- グローバル企業の大半がここに集結
つまり“南米の東京”みたいな位置。
🛡️ サンティアゴの治安:怖がりすぎず、油断もしない“ちょうどいい距離感”が必要
サンティアゴは、他の国の大都市と同じように
治安の“ムラ”がはっきりしている街だと感じた。
中心部(ラスタリア周辺や主要観光スポット)は
人も多く、観光客も多く、
昼間の雰囲気はそこまで悪くない。
ただし——
なんとなく海外独特のピリつき感はある。
川沿いや公園にはホームレスが寝ていた。
- スリ
- スマホ強奪(走りながらひったくられる系)
- 荷物の引き抜き
このあたりは “海外では普通に起こりうること” と考えておくと、ちょうどいい。
移動手段としては、Uberが圧倒的に安心で楽。
また、昼間でも市街地にはホームレスがそれなりに多く、
街を歩いていると治安の“空気の揺らぎ”を感じる場面もあった。
必要以上に怖がる必要はないけれど、
安全を優先した行動を心がける方がいい、と個人的には感じた。
あと、なぜか島から持ち出されたモアイ像が公園に配置されていたが、
イースター島のような厳重な管理というよりは孤独に街を見守っていた。

🏔️ 空港に降りた瞬間から見える「馬鹿デカい雪山」
サンティアゴの最大の衝撃はこれ。
街全体が巨大なアンデス山脈に囲まれている。
空港に降りた瞬間から、
視界いっぱいに“壁”のような雪山。
そのスケール感は、写真では絶対に伝わらない。(街をぐるっと巨大な山々が囲っていた)
都市 × 雪山 の組み合わせは、
世界のどこでもあまり見ない光景。
まるで「長野の松本市がそのまま超巨大都市になった」ような、
そんな不思議なスケール感だった。

⛰️ 丘の上から見た都会の景色は、まさに“巨大な箱庭”
市内の丘に登ると、
ビルの群れが広がる都会の景色の向こうに、
圧倒的なアンデスの山壁がそびえ立っている。
都会なのに自然が勝っている。
コンクリートより山の存在感の方が強い。
そのアンバランスさが、
サンティアゴの一番の魅力かもしれない。
そしてなんと言ってもサン・クリストバルの丘にそびえ立つ女神。

🎨 サンティアゴで触れた“人と文化”の温度
サンティアゴは都会だけど、
その中にちゃんと“ラテンらしい温度”があった。
🌼 広場で出会った“お茶目なおじいちゃん画家”
サンティアゴ中心の広場を歩いていたとき、
ひとりの画家のおじいちゃんが目に留まった。
教会前の人々が絶え間なく行き交う喧騒の中で、
彼だけは油絵に没頭していて、
その姿は妙に穏やかで、どこか可愛らしかった。
どの絵も色彩が美しく、
観光地にありがちな押し売りでも、商売っ気でもなく、
ただ“描くことが好きでたまらない”という空気が漂っていた。
気づけば、
彼の描いた お花の絵 を一枚買わせてもらっていた。

サンティアゴの都会の中でふと見つけた小さな温かさ。
旅の中で買ったものとしては、
地味だけれど、確実に心に残る一つだった。
どの作品もサンティアゴの「美しい風景」を描いていると言っていたが、
たった半日の観光では、その景色をまだ自分の目では確かめられなかった。
バックパッカーなのに、他の荷物を減らしてでも持ち帰りたいと思った作品だった。
だからこそ、
いつか時間を作って、サンティアゴをもう一度旅したくなった。
🖼️ 国立美術館に足を運んだ

南米の“色”と“力強さ”がそのまま作品に宿っていた*
サンティアゴでは美術館にも立ち寄った。
南米特有の、
鮮やかな色、抽象的な形、人間の強さや哀しさを描いた作品が多く、
「この大陸そのものがエネルギーの塊だな」と感じた。
イースター島の静けさとは対照的に、
ここには 都会の熱や人間の生々しさ が脈打っている。
そして、色彩豊かな絵画だけでなく、
チリが歩んできた“暗い時代”を象徴する作品も展示されていた。

軍事政権下の抑圧や、
言葉を奪われた人々の苦しみを連想させるような絵、
オレンジっぽく赤の強烈な光に照らされた肉体が
「うねり」「混沌」「叫び」、生々しく深い重さを感じさせる。
静かに迫ってくるような絵がいくつもあり、美術館の奥には沈んだ空気が漂っていた。
無料とは思えないほど展示内容は濃く、
そこには チリという国の“影”と“光” が鮮明に刻まれていた。
そして改めて、
サンティアゴという都会の熱や、この国の生々しい生命力が
絵画を通してそのまま伝わってくるのを感じた。

🍽️ トップクラスの“食の街”
正直、行く前は「治安・物価・観光」のイメージばかりで、
**“食事がこんなに美味い街”**だとは思っていなかった。
でも実際に行ってみると…
- 海鮮のレベルが想像以上に高い(写真:厚みの貝のうえにたっぷりチーズ)
- 肉料理の火入れが完璧
- ワインが安いのに美味すぎる
- 何を食べても外れない(ほんとに)
南米旅行の中で、サンティアゴの食事はトップクラスだった。
「日本の食こそ世界一」という、自分の中にあった硬い前提が揺らいだ。


📝 イースター島 → サンティアゴ の流れが“旅の密度”を一気に上げた
- 自然の豊かさだけで生きているようなイースター島
- スレた都会だけど美味しくて美しいサンティアゴ
このギャップが、
旅全体のストーリーを深くしてくれる。
あの静かな島から都会へ戻った瞬間の“違和感”すら、
今になると旅の大事な一部だったと感じる。
旅はいつも、静けさと喧騒、誠実さと嘘、自然と都会。
その“ふり幅”こそが旅の面白さなのだと、サンティアゴが教えてくれた。
やはり最後に窓の外に広がっていたのは、果てしなく続く アンデス山脈の白い波だった。



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