09チリ大都会サンティアゴ

Travel

🌆 都会 × アンデス山脈という衝撃


イースター島の静かな豊かさに浸ったあと、

サンティアゴに降り立った瞬間、

身が凍るほど冷たい風と、空港の向こうにそびえる巨大な雪山が迎えてくれた。

「こんな雪山ビューのどこに都市があるんだろう?」

正直、どこかサンティアゴをなめていた自分がいた。

Ahu Tongariki (イースター島)の受付の女性が言っていた。

「サンティアゴは都会で嘘が蔓延っているから嫌い」

という言葉をふと思い出す。

でも空港前に立った最初の感想は、

「いや、嘘もなにも……思ったより田舎じゃないか?」というものだった。

しかし、一夜を空港前ホテルで過ごし、

翌朝 Uber に乗って市街地へ向かう途中で気づいた。

空気がまるで違う。

高速道路から見える景色は決して綺麗とは言い難く、

市街地に入ると、

人の多さ、街のざらついた空気、どこかスレた雰囲気。

イースター島の静けさから一気に、

“南米の大都市の現実”へ引き戻された感覚があった。

それでも──サンティアゴは驚くほど魅力的だった。

🏙️ サンティアゴ=南米トップクラスの超巨大都市

■ 首都圏人口:約700万~800万人

チリ全人口の約40%がここに集中している。

■ 経済規模:南米屈指

サンパウロ・ブエノスアイレスに次ぐレベルで、

南米のビジネス・政治・交通の中心地。

■ 都会としての密度がえげつない

  • 高層ビルが林立
  • 交通量が多く常に渋滞気味
  • 地下鉄網も世界基準で見ても立派
  • 物価も南米の中では高水準
  • グローバル企業の大半がここに集結

つまり“南米の東京”みたいな位置。


🛡️ サンティアゴの治安:怖がりすぎず、油断もしない“ちょうどいい距離感”が必要

サンティアゴは、他の国の大都市と同じように

治安の“ムラ”がはっきりしている街だと感じた。

中心部(ラスタリア周辺や主要観光スポット)は

人も多く、観光客も多く、

昼間の雰囲気はそこまで悪くない。

ただし——

なんとなく海外独特のピリつき感はある。
川沿いや公園にはホームレスが寝ていた。

  • スリ
  • スマホ強奪(走りながらひったくられる系)
  • 荷物の引き抜き

このあたりは “海外では普通に起こりうること” と考えておくと、ちょうどいい。

移動手段としては、Uberが圧倒的に安心で楽。

また、昼間でも市街地にはホームレスがそれなりに多く、

街を歩いていると治安の“空気の揺らぎ”を感じる場面もあった。

必要以上に怖がる必要はないけれど、

安全を優先した行動を心がける方がいい、と個人的には感じた。

あと、なぜか島から持ち出されたモアイ像が公園に配置されていたが、

イースター島のような厳重な管理というよりは孤独に街を見守っていた。

🏔️ 空港に降りた瞬間から見える「馬鹿デカい雪山」

サンティアゴの最大の衝撃はこれ。

街全体が巨大なアンデス山脈に囲まれている。

空港に降りた瞬間から、

視界いっぱいに“壁”のような雪山。

そのスケール感は、写真では絶対に伝わらない。(街をぐるっと巨大な山々が囲っていた)

都市 × 雪山 の組み合わせは、

世界のどこでもあまり見ない光景。

まるで「長野の松本市がそのまま超巨大都市になった」ような、

そんな不思議なスケール感だった。


⛰️ 丘の上から見た都会の景色は、まさに“巨大な箱庭”

市内の丘に登ると、

ビルの群れが広がる都会の景色の向こうに、

圧倒的なアンデスの山壁がそびえ立っている。

都会なのに自然が勝っている。

コンクリートより山の存在感の方が強い。

そのアンバランスさが、

サンティアゴの一番の魅力かもしれない。

そしてなんと言ってもサン・クリストバルの丘にそびえ立つ女神。


🎨 サンティアゴで触れた“人と文化”の温度

サンティアゴは都会だけど、

その中にちゃんと“ラテンらしい温度”があった。


🌼 広場で出会った“お茶目なおじいちゃん画家”

サンティアゴ中心の広場を歩いていたとき、

ひとりの画家のおじいちゃんが目に留まった。

教会前の人々が絶え間なく行き交う喧騒の中で、

彼だけは油絵に没頭していて、

その姿は妙に穏やかで、どこか可愛らしかった。

どの絵も色彩が美しく、

観光地にありがちな押し売りでも、商売っ気でもなく、

ただ“描くことが好きでたまらない”という空気が漂っていた。

気づけば、

彼の描いた お花の絵 を一枚買わせてもらっていた。

サンティアゴの都会の中でふと見つけた小さな温かさ。

旅の中で買ったものとしては、

地味だけれど、確実に心に残る一つだった。

どの作品もサンティアゴの「美しい風景」を描いていると言っていたが、

たった半日の観光では、その景色をまだ自分の目では確かめられなかった。

バックパッカーなのに、他の荷物を減らしてでも持ち帰りたいと思った作品だった。

だからこそ、

いつか時間を作って、サンティアゴをもう一度旅したくなった。


🖼️ 国立美術館に足を運んだ

南米の“色”と“力強さ”がそのまま作品に宿っていた*

サンティアゴでは美術館にも立ち寄った。

南米特有の、

鮮やかな色、抽象的な形、人間の強さや哀しさを描いた作品が多く、

「この大陸そのものがエネルギーの塊だな」と感じた。

イースター島の静けさとは対照的に、

ここには 都会の熱や人間の生々しさ が脈打っている。

そして、色彩豊かな絵画だけでなく、

チリが歩んできた“暗い時代”を象徴する作品も展示されていた。

軍事政権下の抑圧や、

言葉を奪われた人々の苦しみを連想させるような絵、

オレンジっぽく赤の強烈な光に照らされた肉体が

「うねり」「混沌」「叫び」、生々しく深い重さを感じさせる。

静かに迫ってくるような絵がいくつもあり、美術館の奥には沈んだ空気が漂っていた。

無料とは思えないほど展示内容は濃く、

そこには チリという国の“影”と“光” が鮮明に刻まれていた。

そして改めて、

サンティアゴという都会の熱や、この国の生々しい生命力

絵画を通してそのまま伝わってくるのを感じた。


🍽️ トップクラスの“食の街”

正直、行く前は「治安・物価・観光」のイメージばかりで、
**“食事がこんなに美味い街”**だとは思っていなかった。

でも実際に行ってみると…

  • 海鮮のレベルが想像以上に高い(写真:厚みの貝のうえにたっぷりチーズ)
  • 肉料理の火入れが完璧
  • ワインが安いのに美味すぎる
  • 何を食べても外れない(ほんとに)

南米旅行の中で、サンティアゴの食事はトップクラスだった。

「日本の食こそ世界一」という、自分の中にあった硬い前提が揺らいだ。

📝 イースター島 → サンティアゴ の流れが“旅の密度”を一気に上げた

  • 自然の豊かさだけで生きているようなイースター島
  • スレた都会だけど美味しくて美しいサンティアゴ

このギャップが、

旅全体のストーリーを深くしてくれる。

あの静かな島から都会へ戻った瞬間の“違和感”すら、

今になると旅の大事な一部だったと感じる。

旅はいつも、静けさと喧騒、誠実さと嘘、自然と都会。

その“ふり幅”こそが旅の面白さなのだと、サンティアゴが教えてくれた。

やはり最後に窓の外に広がっていたのは、果てしなく続く アンデス山脈の白い波だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました